[新連載]SD-9007サイドストーリー #1 オノ セイゲン&SDM,そのツール

サイデラ・マスタリング&レコーディング(以下SDM)で使用する為に産み出されたケーブル『SD-9007』。
機器と機器を繋ぐ。そのシンプルな行いへの「こだわり」。
神宮前の閑静な中にクリエイティブな空気を纏う彼の地の一角。

SDM・・・B1FのSDLab、1FのSDMO Studio。
世界的名匠、オノ セイゲン氏が設立した国内屈指の名門マスタリング・スタジオ。
B1F SDLabには、この日も音に向き合うオノ セイゲン氏の姿が。

厳選されたSDM SDLabの機器群・・・

SDLabのラックにはリバーブの名機群も並ぶ。

Bricasti Design Stereo Digital Reverb Processor M7
Sony Sampling Digital Reverb DRE-S777
Sony Digital Reverb MU-R201
そして手の届く場所に配置された、オノ氏の長年のアナログ愛機群。
オノ氏のアナログ・プロセスにおける重要機器は、全てカスタム改造・調整されている。


GRACE Design m905から繋がる、オノ氏の目となるB1F SDLabのスピーカー群。

SDLabにはSTUDERのアナログ・テープマシン A-820も常設されている。

そして、その機器群の背面に並ぶ、数多のケーブル群・・・

手前に見える、極太の重量級、『SD-9001』
奥に見える、細めのケーブル “わりと普通、やや硬め”(オノ氏)『SD-9003』
そして、2023年、コロナ禍、SDMに新たに加わったケーブル・・・煌めく赤いシースをまとった『SD-9007』

「ケーブルは①トランスペアレントなケーブル②ほんの少し色付けをするためのケーブル、大きくそのふたつに分かれます。スタジオにはMOGAMIやCanare他、様々なケーブルそれきがあります。『SD-9007』は①、それ以外は②。」(オノ氏)
SDM SDLab内:オノ氏のアナログ・プロセス段の重要機器群、TUBE-TECH SMC2B、GML 8200や主要な機器群の背面に繋がれた『SD-9007』。

更には・・・

「コンソール・アウトから“そのままの音”を録り込みたいから」(オノ氏)

1996年の立ち上げ以来、その場所、SDM から発信され続けて来た オノ セイゲン氏による音のマジック。
最近のエピソード・・・
2023年にリリースされた『Jazz, Bossa and Reflections Vol. 1 / Compiled and Mastered, by Seigen Ono』[Hybrid SACD]。
名門レーベルVerve Records、そしてBrazil Philipsからの名曲、名演奏をオノ氏がセレクト、更には本編用に“曲によっては積極的に”マスタリングを施したコンピレーション盤。
著名な音楽評論家・寺島靖国 氏が、SDLabでその音を聴く。
“オノ セイゲンさんが作ったオムニバス SACD 『Jazz, Bossa and Reflections Vol. 1』の1 曲目、オーディオ的に超有名なオス力一・ピーターソンの『We Get Requests( プリーズ・リクエスト)』から〈ユー・ルック・グッド・卜ゥ・ミー〉。
こんな音、聴いたことがない。これが私の第一印象である。あっけにとられた。眼が宙に浮いた。”
“私は声を大にして言いたい。すべてのオーディオ・マニア、このSACD、「オノ セイゲンの音」を聴くべし。”
( 『Jaz.in vol.015』寺島靖国の my ROOM my AUDIO )
同じく『Jazz, Bossa and Reflections Vol. 1』にまつわる記事より・・・
“むかしから多くのオーディオマニアに試聴曲として愛されてきた楽曲で、ぼくもこの作品のLP、CDをいくつか所有しているが、本作『Jazz, Bossa and Reflections Vol. 1』に収められたこのトラックがいちばん音が良いと思う。”
( 『STEREO』2024年9月号 文・山本浩司 )
名だたるオーディオ評論家たちから最大級の賛辞を集めるその仕事。
『Jazz, Bossa and Reflections Vol. 1』制作時のオノ氏のノート:
「スマホにヘッドホンでサブスクを流す、それでも曲と演奏は楽しめる。しかし「音楽を体験する」にはもう少し豊かなものであって欲しい。」
「音楽」を届ける為に。
同作の制作時、オノ氏が新たに導入したツール:『SD-9007』トランスファー・ケーブル。

「機器と機器を繋ぐケーブルは、できれば無い方がいい。」(オノ氏)
オノ氏の理想へ近づく、ひとつの解答の誕生。

SDM / Family Labo SD-9007 トランスファー・ケーブル
(SD9007サイドストーリー #2に続く)
オノ セイゲン Seigen Ono:
レコーディング / ミキシング / マスタリング・エンジニア, アーティスト

録音エンジニアとして、82年録音の清水靖晃「案山子」「うたかたの日々」、坂本龍一「戦場のメリークリスマス」、渡辺貞夫「パーカーズ・ムード」(85年)「ELIS」(88年)、加藤和彦、三宅純、ヒカシュー、青葉市子、東北ユースオーケストラ、ジョン・ゾーン、マーク・リボウ、 アート・リンゼイ、ビル・フリゼール、ラウンジ・リザーズ、オスカー・ピーターソン 、キース・ジャレット、マイルス・デイビス、キング・クリムゾン、ジョー・ジャクソン、デヴィッド・シルヴィアン、スティーブ・ジャンセン、など多数のアーティストのプロジェクトに参加。2012年からは映画Blu-ray化の音声トラックのマスタリングも手がける。
また、アーティストとして1984年にJVCよりデビュー(今年40周年)、87年に日本人として始めてヴァージンUK(アーティストとして3枚)、ヴァージン・ミュージックパブリシング(作家として10年)と契約。同年、コム デ ギャルソン 川久保玲から「誰も、まだ聴いたことがない音楽を使いたい」「洋服がきれいに見えるような音楽を」という依頼によりショーのためにオリジナル楽曲を作曲、制作。アート・リンゼイ、ビル・フリゼール、ジョン・ゾーン、マーク・リボウ、フレッド・フリスら、80年代のNYダウンタウン・シーン最精鋭たちが結集した『COMME des GARCONS SEIGEN ONO』は、2019年度 ADCグランプリ受賞。 1993年以来スイス、モントルー・ジャズ・フェスティヴァルに4回、アーティストとして出演している。
SDM / サイデラ・マスタリング Saidera Mastering & Recording:
オノ セイゲン氏により1996年に設立。早期よりDSD/SACDをはじめとするハイ・レゾリューション・フォーマットを手がけ、ハイレゾ・シーンの品質向上、普及に大きな貢献を果たす。近年では映画Blu-ray化のためのマルチトラック・マスタリングをはじめとする映像分野の音声も手がけ、その品質向上に寄与。