Ikoman ~ [2] その新たな“機材”。[スタジオ訪問レポート2019]

多彩な顔を持つ、音楽プロデューサー、アレンジャー、作曲家、マルチプレイヤー、Ikoman / 生駒龍之介 氏。そのホームグラウンド「VOX & HEART STUDIO」。

(前回記事:Ikoman ~ [1] “探究者”が見出したワザ。>>> https://www.ikebe-digital.com/?p=11232 )

現在の生駒氏のメイン・モニターであるAmphion Two 18。精緻な音像に、より大きな量感を加える為、サブウーハーBase One 25もセットで追加設置されています。

「Two18 & Base One25を導入して“脳内直結”の再生環境を手に入れました。」と氏。Amphionの他、ADAM S2V、Musikelectronic RL906等の大小様々なモニタースピーカーが並びます。

高精度かつフルレンジで鳴る、生駒氏の目。
ミックスルームに広がる豊かな量感の低域。その低域での処理について、
「今までは、雰囲気で“ウォー、これいいじゃん!”だった。ただ、低音の種類がわからなくて、それが意味のある低音かどうか、わからなかった。」
KOTOBUKI設置後は、「それが、確信を持って判断できる様になった。」

KOTOBUKIパネルを手にする生駒龍之介氏。スタジオには、KOTOBUKIの他にも、KRYNA、YAMAHA等の各社調音製品が要所に設置されています。

機材のラインナップのみならず、調音に関しても、生駒氏自らが手を加え、何年もかけて少しづつリファインが重ねられてきた「VOX & HEART STUDIO」。
そこに新たに設置された、50cm四方のパネル。
『KOTOBUKI 音快速』パネル・・・50cm x 50cm、厚さ3.5cmというコンパクトな板状の構造体でありながら「周波数125Hz以下」を 製品によっては「80Hz以下」を“狙って”吸音してしまう、という恐るべき性能。

KOTOBUKI音快速パネルでは、面構造を採用し、アルミ焼結板「カルム」の吸音効果をフロントに配した開口部と内部構造によりコントロールしています。

「VOX & HEART STUDIO」に導入されたKOTOBUKIパネル、その数わずかに“6枚”。

スタジオ・フロント部、モニタースピーカー直下の床に「ポンと置きしてるだけ(笑)」の2枚の『KP-05』。
部屋の中間部、その両サイドの壁面、床部に置かれた『KP-01』。
背後のゲスト用ソファが置かれた背面の壁の隅、そこにも2枚、「置いてるだけ(笑)」の『KP-02』。
この6枚で、劇的な変化が。

フロントのモニタースピーカー群の下方に設置されたKP-05パネル

室内後方のソファーの背面床に設置されたKP-02パネル

パネルの設置に際し、更に多くの数量のKOTOBUKIパネルの設置も試み、最終的にこの6枚の組み合わせに落ち着きます。

「とにかく凄い効き。スタジオが限られたスペースなので、まず、このパネルの小ささも嬉しかった。」
一般的なベース・トラップの様な大きな物体の設置は避けたかった、と。

スタジオのフロント部、モニタースピーカー下方に置かれたKOTOBUKIパネルは、『KP-05』。アルミ素材「カルム」に加え、航空機にも使用されているハイテク炭素系素材を組み合わせた新たなラインナップ。
KOTOBUKIパネルは、内部の吸音材で「音を吸い」、再度「反射させる」構造を持っています。その内部素材の組み合わせ、配置、そしてスリットの形状のバランスにより、吸音、反射をコントロールしています。
「『KP-05』では、80Hz以下を吸い、低周波の余分な音をまた反射する時に流速がつき、抜けのいい更に深い低域が再現されます。中高域は程々に吸って反射する事で低周波の波とぶつからずに正確な情報が再現されます。」(株式会社KOTOBUKI 庭瀬氏)

スタジオ後方、ディレクターやミュージシャンも座るソファーの背面に、生駒氏は125Hz以下にターゲットされた『KP-02』*2枚をセレクト、設置。
「こちらに『KP-05』だと、狙いが下すぎて、その上にピークが来るような感じを受けて。」
もう少し上の帯域から、なだらかに低域だまりを補正しています。

そして、最終的に加えられた、2枚の『KP-01』。

125Hzから500Hzをターゲットにした『KP-01』。設置時の開口部の方向で、その効果は変化します。

一旦は、前後の『KP-05』+『KP-02』の組み合わせでの劇的な変化に満足、落ち着いたかに見えた後、
「ふと試しに置いてみると、音量を上げても下げても変わらない状態を作れたので、ここいいな、と(笑)」
『KP-01』は、『KP-05』、『KP-02』の間、部屋の中間部の壁面下部に加えられました。

KOTOBUKIパネルは、シリーズにより、開口部/スリットの形状の違いがあります。
そして、設置の際、この「開口部/スリットの向き」でも得られる効果が違うと!
最新作の『KP-05』の場合・・・まず、スリットの位置がアシンメトリ、つまり、左右で異なる品番が存在します。

そして、長方形のスリット、設置の際の「縦」向き、「横」向き、その効果の違い。
「『KP-05』の場合、縦向きではバランス良く80Hzを処理し、横向きではさらに低域を締めたい時に有効です。」(株式会社KOTOBUKI 庭瀬氏)
使い分けのヒントとして、
「『KP-05』の場合、大型ウーファー用には横向き、スタジオ・モニター系には縦向きでのご利用が良いかもしれません。」(同 庭瀬氏)
とのこと。

セレクト、設置された「VOX & HEART STUDIO」でのKOTOBUKIパネル、その効果。
実際に生駒氏のミックスで行われたプラグインでの低域処理を実演頂きました。
ライブ会場で収録されたバンド演奏のトラック。

「ライブが素晴らしいバンドなので、現場のライブ感をしっかり出したかった。それには、このライブ会場特有の低域も必要で、でもそれを強調する為にアンビエンスを増やしていくと、特に低域の音像はどんどんぼやけてしまう。そこで、キックに100Hz以下の3次倍音を。」
キックにタイト感を加える為のiZotope OZONEでの処理、その加減。

「ここの値を上げていくと・・・このポイントで歪み始めるのがはっきりと聴こえる。」
「これが、前の環境だと雰囲気でしか判らなかった。音源によっては、それが気持ちよく聴こえてしまったり(笑)」
ここで試みに、ポンと置きされたKOTOBUKIパネル、フロントの2枚を部屋の外へ・・・とたんに、低域が単なる“大きなモワつき”となります。
「量感が上がるのはわかるけど、意味がある下なのか、これだと判断できない。3次倍音なので、もっと刺さるはずなのに、モワーっていっているだけ。」
再度、KOTOBUKIパネルを設置。タイトな音像としてキックの低域が現れます。
「“ゆるんでたキックに3次倍音を足してバキッとさせる”。それが明確にわかる。」

ミックス後の外部でのマスタリングでの変化。
「マスタリング・スタジオの大きなPMCスピーカーで自分のミックスを聴くのが大好きで(笑)これまでは、そのPMCで聴くまで結果がわからなかった、いわばカンでやっていた低域の処理が、だいぶマトを得てきた。実際、マスタリング・エンジニアさんによる低域の補正の手数も減ってきたかと(笑)」

たった6枚のパネルで獲得された、飛躍的な「音の見通しの良さ」。

「まだ、ポンと置き、なので、これからもっといいポイントがないか、探します。」

あくまでも研究熱心な生駒氏でした。

 

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(レポート by S.N.)

 

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