DJの新しいスタンダード「CDJ-3000」が誕生!気になるCDJ-2000NXS2との違いとは?
クラブ標準のDJプレーヤーとして、世界中のDJが憧れる「CDJ-2000NXS2」の後継機「CDJ-3000」が新登場!
新たなフラッグシップとして誕生したCDJ-3000ですが、果たしてどんな進化を遂げたのか?ここでは、「CDJ-3000」と「CDJ-2000NXS2」の主要機能を比較して、その違いをわかりやすく紹介していきます。
USBメモリなどの使用に特化したCDJ
まずはじめに、CDJ-3000とCDJ-2000NXS2のサイズとデザインを見ていきましょう。それぞれのサイズ(WxHxD)と重さは次の通り。
- CDJ-3000 サイズ:329x118x453mm/重さ:5.5kg
- CDJ-2000NXS2 サイズ:320×113.2×414.4mm/重さ:5.7kg
すでに完成の域に達しているCDJのデザインですが、なかでも目を引くのがディスプレイ。CDJ-3000には、9インチの大型ディスプレイが搭載されていて、その分だけ大きい印象です。
CDJ-3000(左)とCDJ-2000NXS2(右)
そして、よーく見てみると、大きな違いに気付きます。それは、、、CDJに不可欠なCDスロットがありません!CDJ-3000は、USBメモリやSDカードなどにインポートしたオーディオファイルの使用に特化していて、CDを再生することはできないのです。
説明するまでもありませんが、これは、記録メディアとしての役目を終えつつあるCDの需要が低下したため。時代の流れを感じますね。
アナログからデジタルまで柔軟な接続性
続いて、リアパネルに目を向けて、接続端子を見てみましょう。CDJ-3000とCDJ-2000NXS2ともに同じで、次の端子が搭載されています。
- アナログ・オーディオアウト(RCA):アナログDJミキサーなどとの接続に使用
- デジタル・オーディオアウト(Coaxial):デジタル入力を搭載したDJミキサーに接続してデジタル出力が可能
- LAN:PRO DJ LINK対応機種との接続で、PRO DJ LINK機能を利用可能
- USB:PCとの接続で「rekordbox」のMIDIコントローラーとして利用可能
接続端子は、両機種ともに変わりませんが、CDJ-3000では、PRO DJ LINKに使用するLAN端子がアップグレードされています。高速データ伝送を可能にするGigabit Ethernetへの対応により、1つのUSBメモリやSDカード内のオーディオファイルを、最大6台ものCDJ-3000で共有できます。
USBメモリ1つだけで、クラブなどへ向かえるのは、とっても便利ですが、特に複数のDJでパフォーマンスする際に魅力を感じる機能です。
操作性と視認性が向上した大型ディスプレイ
冒頭で紹介した通り、CDJ-3000のディスプレイは、とにかく大きい。タブレット並みの9インチ大型ディスプレイは、フルカラーHD LCDにグレードアップ。7インチ・フルカラーLCDディスプレイを搭載したCDJ-2000NXS2と比べると、その大きさと鮮明さが際立ちます。
CDJ-3000は、ディスプレイが大きくなっただけではありません。ブラウズ・セクションでは、波形情報を表示するPREVIEWが追加され、波形をタッチして楽曲をプレビューすることができます。
また、PRO DJ LINKを使用すると、拡大波形の上部に、マスターとして別のCDJなどで再生されている楽曲の波形が表示されます。マスターの楽曲と次にプレイする楽曲が、上下に並んで表示されるので、ミックス時に詳細な調整が可能です。
さらに楽曲の拡大波形が、HIGH, MID, LOWの3色で表示されるようになりました。これにより、楽曲の構成をわかりやすく認識できるので、楽曲のミックスポイントなども、ひと目でわかります。
高感度で滑らかなジョグホイール
実際にCDJ-3000を操作してみて、最も違いを感じたのがジョグホイール。CDJ-200NXS2を使用したことがあるDJならお分かりかと思いますが、これまでのジョグホイールは、回すと、カラカラと音がして、ちょっとした抵抗を感じました。
しかし、ジョグホイールの内部機構が刷新されたCDJ-3000では、音もしなければ、抵抗も感じません。さらに、タッチレイテンシーも低減されているので、レスポンスも向上。滑らかな動きで、反応も優れたジョグホイールは、フラッグシップに相応しいリッチな操作感を得られます。
高性能MPUで処理能力がアップ
CDJ-3000には、シリーズで最も高い性能と処理能力を誇るMPUが搭載されています。PCで言うところのCPU的なMPU。その性能の向上により、スムースで安定した動作を実現しています。
CDJ-3000とCDJ-2000NXS2で、楽曲とHOT CUEのロードに要する時間を比べてみましたが、CDJ-3000の方が早くロードされ、すぐにプレイに入ることができました。
高い解像度でまろやかな音質
機能性とともに気になるのが音質ですね。CDJ-3000では、対応する全てのオーディオ・フォーマットの内部オーディオ演算処理が96kHz/32bit-floatに統一されています。
CDJ-3000とCDJ-2000NXS2を聴き比べてみると、確かに、CDJ-3000の方が音の粒が細かく、楽曲の再現性に優れています。筆者の個人的な感想としては、CDJ-3000の方が聴いていて気持ち良い音に感じます。
さらに、MASTER TEMPOなどのオーディオ処理技術も向上しています。楽曲のスピードを変更しても音程が変わらないMASTER TEMPOは、CDJの性能を図るひとつのポイントです。こちらもCDJ-3000の方がスムースで、あまり違和感を感じません。
DJソフトでお馴染みの機能も装備
CDJに欠かせない機能のひとつがHOT CUE。CDJ-3000とCDJ-2000NXS2共に、最大で8個のHOT CUEを扱えますが、操作性が異なります。CDJ-2000NXS2では、4つのHOT CUEボタンと2つのBANKボタンが用意されており、BANKを切り替えながらHOT CUEを操作する必要があります。
対して、CDJ-3000には、8個のHOT CUEボタンが用意されているので、BANKを切り替えることなく、1度の操作でHOT CUEにアクセスできます。また、CDJ-3000のHOT CUEボタンは、ディスプレイの下に配置されており、全体波形を見ながら操作できるので、コントロールしやすい印象です。
そして、CDJにもBEAT JUMPが搭載されました。rekordboxなどのDJソフトではお馴染みの機能ですが、BEAT JUMPを使用すると、ビートをキープしたまま任意の拍数で、再生位置を移動させることができます。
また、AUTO BEAT LOOP機能もアップグレード。CDJ-2000NXS2では、ひとつのAUTO BEAT LOOPボタンで、4-BEATと8-BEATのLOOPを設定していましたが、CDJ-3000では、4-BEATと8-BEATの、2つのAUTO BEAT LOOPボタンが搭載され、1小節または2小節のLOOPをダイレクトに設定可能。
さらに、3、5、6、7、9などの奇数で、AUTO BEAT LOOPを設定できるようになったので、柔軟性の高いLOOPプレイが可能になります。
最後に、楽曲のキーを自動的に合わせられるKEY SYNCを紹介します。この機能では、PRO DJ LINK使用時に、キー解析された楽曲をロードすると、自動的にキーを合わせてくれます。KEY SYNCを使用すると、綺麗なミックスが可能になり、より音楽的なパフォーマンスを実現できます。
また、タッチディスプレイのKEY SHIFTでは、手動で楽曲のキーを可変させることも可能です。
新しいスタンダードの誕生
これまでにない大きな進化を遂げたCDJ-3000。音質設計の見直しにより向上した音質は、よりナチュラルに音楽を再現してくれます。そして、rekordboxの開発により得られたBEAT JUMPなどの新たな機能は、パフォーマンスの可能性をさらに広げてくれます。
このように、ハードウェアとDJソフトの利点を融合したCDJ-3000は、次世代のDJスタイルへの架け橋として、クラブなどのプロフェッショナルな環境において、欠かせないツールとなりそうです!