【SENNHEISER】 XSW 2-835-JB ワイヤレスマイク エントリーモデルXSW 1-825-JBとの違いは?

MD 421等のダイナミックマイクを中心にプロに愛されるマイクメーカーSENNHEISERは、プロ用のワイヤレスマイクメーカーとしても有名です。A帯と呼ばれる免許が必要な大規模PA向け製品はもちろんですが、バンドマンからイベントまで初心者でも免許なしで使える製品もリリースしています。

エントリー向け製品としてワイヤレスマイクのセットXSW 1-825-JBがリリースされており、その上位機種として今回紹介しているXSW 2-835-JBがあります。どのような人に向いているのか、XSW 1-825-JBとの違いに焦点を当てて紹介していますので、XSW 1-825-JBの記事とあわせてお読みください。

 

SENNHEISER XSW 1-825-JB ワイヤレスマイクをレビュー 誰でも使えるワイヤレスのパフォーマンスや信頼性は?


 

XSW 2-835-JB セット内容

  • 送信機:SKM 835-XSW-JB ハンドヘルド・トランスミッター
  • 受信機:EM-XSW 2-JB ステーショナリー・レシーバー
  • マイクホルダー:MZQ 1
  • ACアダプター:NT 12-5 CW
  • ラックマウントキット
  • ポーチ

※モデル名末尾の「-JB」は、日本向けの製品(日本向けの周波数設定)であることを表しています。


パッケージ内容の違いを検証。ラックマウントアングルが付属!

どちらの機種も取っ手つきの持ち運びに便利なパッケージに送信機と受信機がセットになっており、受信機用の電源アダプターが付属しています。これらの基本構成は同じと言って良いでしょう。

しかし上位機種となるXSW 2-835-JBでは、業務用の機器ラックにマウントするためのラックマウントキット(ラックマウントアングル)が付属します。

<XSW 2-835-JBに付属するラックマウントアングルを装着>

 

XSW 2-835-JBの受信機EM-XSW 2-JBは据え置きデザインですが、付属のラックマウントアングルを用いることで、業務用の19インチラックへの取り付けが可能になります。業務用途で使用する方や、持ち運びが多くラックに入れて管理したい方はXSW 2-835-JBを購入するほうが良いでしょう。

また、ハーフラックサイズであるため、横に2台連結することも可能。連結用のプレートも付属しています。さらに、底面には市販のラックマウントアングル用のネジ穴も用意されています。

<受信機EM-XSW 2-JBの底面と連結用プレート>

 

音質に関する違いを検証。マイクカプセルがグレードアップ!

続いて、マイクにおいて重要な音質面の違いをチェックしてみます。

わかりやすい違いとして、送信機(SKM 835-XSW-JB)のマイクカプセルが異なることが挙げられます。どちらのモデルも定評ある既存製品のマイクカプセルを採用したモデルですが、XSW 2-835-JBではXSW 1-825-JBで採用されていたe 825ダイナミックマイクの上位機種となる、e 835ダイナミックマイクのカプセルが採用されています。

<左:SKM 835-XSW-JB、右:SKM 825-XSW-JB>

 

送信機としての性能は同一ですが、マイクカプセルが異なるために収音可能な音の範囲を示した周波数特性に違いがあります。

SKM 825-XSW-JBでは80Hz〜14,000Hzという特性であるのに対し、SKM 835-XSW-JBではより範囲の広い80Hz〜16,000Hzという特性になっています。高い音まで対応できるということなので、管楽器などボーカル以外の用途も視野に入れたい場合はXSW 2-835-JBを選択する方が良いでしょう。

 

操作性に関する違いを検証。詳しい人も納得の詳細設定・詳細表示

送信機はマイクカプセルを除いて同じで、操作性に違いはありません。大きな違いがあるのは受信機です。

XSW 1-825-JBの受信機EM-XSW 1-JBでは、使用できる周波数をオートスキャン機能で自動的に探し、オートセットアップ機能で送受信機の周波数を自動的にあわせるようになっていました。設定は非常に簡単ですが、一方で、実際に使われている周波数の情報は受信機で確認できず、また、自分で周波数を指定することもできませんでした。

これに対しXSW 2-835-JBの受信機EM-XSW 2-JBには、使用する周波数を表示するディスプレイが用意されています。また、周波数の設定方法もSCANモード、PRESETモード、TUNEモードの3種類から選択可能となっており、自分で任意の周波数に設定することが可能です。ワイヤレス機器の知識がある人が使用する場合、XSW 2-835-JBセットのほうが安心できそうです。

<上段:EM-XSW 1-JB、下段:EM-XSW 2-JB>

 

細かい設定ができると言っても操作は簡単で、SCANモードを使用すれば使用可能な周波数を自動で探してくれます。周波数が決まったら、送信機・受信機のSYNCボタンを長押しすることで、オートセットアップ機能により、送受信機の周波数をあわせてくれます。

TUNEモードでは完全手動で周波数を選択でき、PRESETモードでは予め記憶したプリセットの中から周波数を選択できます。

<送受信機のSYNCボタンを長押しする>

 

なお、受信感度及びオーディオ信号の表示も異なっており、EM-XSW 1-JBでは点灯/消灯のみだったのに対し、EM-XSW 2-JBでは5段階の表示になっていて安心できます。

<EM-XSW 2-JBでは受信感度とオーディオ信号の表示が細かい>

 

信頼性に関する違いを検証。詳しい人も納得の詳細設定・詳細表示

最後に信頼性について違いをチェックしてみました。

外観からも分かる通り受信機のアンテナの構造が大きく異なり、EM-XSW 1-JBでは内蔵アンテナだったのに対し、EM-XSW 2-JBでは着脱式のホイップアンテナになっています。

<背面に2本のホイップアンテナを接続する>

 

小規模会場では内蔵アンテナでも十分受信可能ですが、外付けのホイップアンテナであることで、より厳しい環境でも安定して受信することができます。

外付けアンテナはBNC端子での接続であり、この端子はワイヤレスアンテナでは標準的なもの。つまり、SENNHEISERの上位機種に用意されている外付けアンテナの使用も可能です。常設機器として使用する場合、大規模会場で使用する場合はオプションのアンテナ増設を検討しても良いでしょう。

<オプションの外付けアンテナ類が使用可能>

 

加えて、受信方式もEM-XSW 1-JBのアンテナダイバシティ方式から、プロ機器でおなじみのトゥルーダイバシティ方式にグレードアップ。安心して使用できるのがXSW 2-835-JBの最大の特徴となるでしょう。

以上のように、受信機に大幅な違いがあることがわかりました。この結果、受信機の重さも大きく異なり、EM-XSW 1-JBは約340gであるのに対し、EM-XSW 2-JBは約680gと2倍の重量があります。ずっしりとした筐体からも高い信頼性を感じることができますね。

エントリーモデルであるXSW 1-825-JBはSENHEISERプロ機器譲りの性能と信頼性をバランスよく継承しつつ、機能を徹底的におさえて「最も簡単に使えるワイヤレスマイク」を目指していることが伝わってきます。音響機器に詳しくない場合、XSW 1-825-JBが良いでしょう。一方でXSW 2-835-JBは高いコストパフォーマンスを維持しつつ、業務用途にも耐えられる仕様を備えていることがわかります。プロが使う信頼性を必要とする場合はXSW 2-835-JBが良いということになるでしょう。シンプルに、業務用途か、そうでないかを基準にモデル選定してみてはいかがでしょうか。


 

 

以下、エントリー向け製品としてワイヤレスマイクセットXSW 1-825-JBの特集記事も併せてお読みください!

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