【SENNHEISER】インタビュー収録を手軽にワイヤレス化する高音質ワイヤレス・システム『XSW-Dシリーズ』
カメラ用のガンマイクで有名なマイクブランドSENNHEISERは、カメラ系だけでなく業務用音響の世界でも老舗ブランドとして名を馳せています。ワイヤレスマイクのブランドとしてもトップブランドであり、多くの放送局や大規模コンサートでSENNHEISERのワイヤレスシステムが使用されています。
高度業務用製品だけでなく手軽に使えるワイヤレス・システムもラインナップしており、その中でもWi-FiやBluetoothでおなじみの2.4GHz帯を使用するワイヤレスシリーズがXSW-Dシリーズ。免許不要で買ったその日から誰でもすぐに使うことができます。用途にあわせて9種類のセットが発売されています。
この記事ではXSW-Dシリーズの中から、DSLRやハンディカメラでの動画撮影・インタビュー撮影に適したベーシックセット「XSW-D PORTABLE LAVALIER SET」を中心に、XSW-Dシリーズのラインナップと概要を紹介します。
<取材をワイヤレス化するXSW-Dシリーズ>
■ワイヤレス化の重要性
ここで改めてワイヤレス化の重要性について説明しておきましょう。
ワイヤレス化せずに話者の声を収録する場合は、カメラのマイクまたはガンマイク等で遠距離から収録することになります。マイク収録において重要なのは設置場所。つまり音源からの距離であり、遠ければ遠いほど不鮮明になり、話者以外の音も増えてきます。できるだけ口から近い場所にマイクを設置することが重要なのです。これは音楽録音において口の目の前にマイクを設置していることからもおわかりいただけるでしょう。
<音楽のレコーディングでは口の目の前にマイクを設置する>
しかし撮影においては音楽録音のように口の目の前に大きなマイクを設置することは難しいので、可能な限り近くにマイクを設置することになります。すると、選択肢はピンマイクやヘッドセットマイクとなります。
<可能な限り口に近く、カメラを邪魔しない位置が必要になる>
撮影においては被写体から一定の距離が必要であることは説明の必要がないでしょう。つまり、口の近くにマイクを設置すると、話者からカメラまで長いケーブルが必要になってしまうのです。喋りながら移動するような撮影は困難でしょう。
動画撮影におけるマイクのワイヤレス化は、音を良くするためにこの上なく有効なソリューションなのです。
■XSW-Dシリーズの選び方
最初に接続するカメラの入力端子を調べましょう。端子形状によって使用する受信機が変わります。次に使用するマイクがピンマイクか、ハンドマイクかで判断します。ピンマイクの場合はピンマイク付属のセットと別売りのセットがあります。
<左:3.5mm端子ケーブルと受信機、右下:XLR端子出力受信機>
3.5mmプラグ入力の場合は、以下4機種が対象となります。
・XSW-D PORTABLE LAVALIER SET(ピンマイク付属セット3.5mm出力)
・XSW-D PORTABLE INTERVIEW SET(ハンドマイク用セット3.5mm出力)
・XSW-D PORTABLE ENG SET(上記2セットの両方3.5mm出力)
・XSW-D PORTABLE BASE SET(ピンマイク別売りセット3.5mm出力)
XLR端子入力の場合は以下の3機種が対象です。
・XSW-D LAVALIER SET(ピンマイク付属セットXLR出力)
・XSW-D XLR BASE SET(ハンドマイク用セットXLR出力)
・XSW-D PRESENTATION BASE SET(ピンマイク別売りセットXLR出力)
■XSW-Dシリーズの送受信機
XSW-Dシリーズの送受信機はワイヤレス機器に詳しくない人でも使えるように設計されており、ボタンがひとつしかないことが特徴です。コネクターの違いで4種類の形状がありますが、送受信機の性能はどのモデルでも同じです。XSW-D送受信機はボタンひとつですべての操作を行うことができます。すべての操作といっても、電源のオンオフとミュート以外の操作はありません。設定はすべて自動で行われます。
<XSW-Dシリーズのコンパクトな送受信機群>
ボタンを長押しで電源がオンになります。送受信機ともに電源がオンになったら自動的にペアリング(リンク)が行われます。正常にリンクされるとLEDの表示が緑になり、以降の操作は必要ありません。送信機に入力された音が2.4GHz帯の電波を用いてapt-X Liveコーデックによりワイヤレス伝送されます。手軽に使えますが、なんと75mの伝送距離を誇ります。
<送受信機ともにボタンとLEDが一つだけのシンプル設計>
ボタンをもう一度押すとミュートされ、もう一度押すとミュートが解除されます。ミュート操作は送受信機どちらからでも可能です。操作はこれですべてなので、誰でも迷わず使うことができるでしょう。
内蔵されるリチウムイオン充電池を電源としており、付属のUSB-CケーブルでUSB充電器から給電します。
<USBを経由して送受信機を充電>
充電器は付属しませんが、スマートホン用のUSB充電器(USB-Aコネクター)を使うことができるので、現代であれば別途購入する必要は無さそうです。満充電の場合5時間程度使用することができますから、撮影開始まで充電しておけば良いでしょう。モバイルバッテリーでも充電可能です。3時間あれば満充電となります。
■インタビュー撮影をワイヤレス化するXSW-D PORTABLE LAVALIER SET
「XSW-D PORTABLE LAVALIER SET」は、XSW-D送受信機とME 2-2ラベリアマイク(ピンマイク)がセットになった製品で、ピンマイクを使用したインタビュー収録をワイヤレス化することができます。
<ME 2-2ラベリアマイク(ピンマイク)が付属するXSW-D PORTABLE LAVALIER SET>
送受信機ともに3.5mm端子となっており、送信機にはME 2-2マイクを、受信機から先は付属の3.5mmプラグのカールコードを介してカメラのマイク入力に接続します。
<外部マイク入力端子のあるカメラにピッタリのセット>
ME 2-2マイクはXSW-Dシリーズのセット製品として開発されたものではなく、単品のピンマイクとして高いコストパフォーマンスを誇る、定評ある製品です。無指向性というタイプのマイクで、全方向の音をほぼ均等に収音しますから、取り付け位置や向きに制限がありません。マイクに付属するクリップで服の襟などに取り付けて使用します。
<自撮りでもワイヤレス化することで自由度が飛躍的に向上>
ME 2-2からのケーブルは衣服などの中を通し、XSW-D送信機に接続。ベルトクリップも付属しますので、話者の背中側のベルトに装着すると良いでしょう。
受信機にはコールドシュー用のアダプターが付属しますので、カメラの上にシューマウントを介して取り付けることができます。カールコードで接続すれば、カメラにワイヤレス受信機が内蔵されているかのような使用感を得ることが可能です。
<コールドシューマウント用のアダプターが付属>
送信機及び受信機の3.5mmプラグ端子はSENNHEISERに限らず様々な機器で使用される一般的な接続端子なので、同じ規格の音響機器やケーブルと交換することができます。例えばマイクをヘッドセット型のME 3(別売)に変更することも可能です。
<SENNHEISER ME 3-Ⅱなど3.5mm端子のマイクに換装できます>
■ハンドマイクでのインタビュー収録に特化したXSW-D PORTABLE INTERVIEW SET
「XSW-D PORTABLE LAVALIER SET」の送信機がXLRメス端子タイプになったものが「XSW-D PORTABLE INTERVIEW SET」です。XLRメス型受信機はインタビュー用のマイクに直接接続することができます。
<XLR型送信機はマイクに直接取付可能>
普段使用しているインタビュー用マイクを使用するため、既存環境と音質の変化もなく、そのままワイヤレス化できます。ただし、電源が必要なコンデンサー型マイクは使用できないので、ご注意ください。
■その他の3.5mm端子出力セット
使用するマイクがピンマイクの場合は「XSW-D PORTABLE LAVALIER SET」、ハンドヘルド型ダイナミックマイクの場合は「XSW-D PORTABLE INTERVIEW SET」ですが、両方のタイプを使用する現場も多いでしょう。どちらのマイクにも対応できるセットが「XSW-D PORTABLE ENG SET」です。
<2種類の送信機が付属するXSW-D PORTABLE ENG SET>
「XSW-D PORTABLE ENG SET」では送信機が2種類となり、ME 2-2+3.5mm受信機とXLRメス型受信機の両方が用意されています。XSW-Dシリーズではスイッチオンでペアリングを行うため、使う送信機のスイッチをオンにすればすぐに使用できます。周波数設定などを調整する必要はありません。
すでにピンマイクを所有している場合は「XSW-D PORTABLE BASE SET」が良いでしょう。このセットにはマイクが付属していないので、3.5mmプラグのマイクならお好きなものを使用することができます。「XSW-D PORTABLE LAVALIER SET」からME 2-2マイクを取り除いたセットです。
<ピンマイクが付属しないXSW-D PORTABLE BASE SET>
■XLR端子出力のプロ向けセット
「XSW-D LAVALIER SET」「XSW-D XLR BASE SET」「XSW-D PRESENTATION BASE SET」の3製品は、受信機の出力端子が業務用のXLR端子となっています。 カメラの入力端子がXLR端子の場合はこれら3製品を選択すると良いでしょう。
XLR出力の受信機はカメラなどのXLR端子にそのまま接続することができるほか、マイクケーブル(XLR端子のケーブル)を用いて延長することも可能です。
<XLR入力の業務用カメラ等に使用できるXSW-D LAVALIER SET>
動画撮影向けのXSW-Dシリーズを紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。これまでワイヤレス・システムを使用するには、たとえ使用するマイクが1本であっても電波や周波数に関する知識が必要でした。XSW-Dシステムはこれらの知識が不要な、極めて手軽なワイヤレス・システムです。ワイヤレス化によってマイクの設置に自由度を手に入れ、さらに高音質な収録環境を構築してみてはいかがでしょうか。