【緊急レビュー】YAMAHA MONTAGE Mシリーズ

■2023年10月16日追記 【動画】YAMAHA MONTAGE M フラッグシップシンセサイザー新製品発表会 ゲスト演奏:浅倉大介

10月10日に行われた新製品発表会に於いてゲスト出演された浅倉大介さんがデモ演奏をされました!

最良な音で録れなかったのが大変悔やまれるのですが・・・大ちゃんファン必見のプレイが目白押しです!

貴重な演奏を是非お楽しみください~♪

 


 

とにかく”音が良い”PCM+FMのハイブリッド音源、操作性の良いインターフェイス、富士山スーパーノブに代表される滑らかでダイナミックな演奏表現力、PC環境との親和性・・・DAW環境での音楽制作が当たり前の時代だからこそ、ハードウェアの魅力が凝縮されたヤマハのフラッグシップ・シンセサイザー「MONTAGE(モンタージュ)」はプロフェッショナルな音楽家を筆頭に幅広く愛される傑作シンセサイザーでした。

でした。

 

ソフトウェア・アップデートを前提とした設計により、度重なるブラッシュアップや機能拡張を繰り返し、2016年の発売以来7年以上という、デジタルシンセとしては異例の長寿命を誇ったMONTAGEですが、ついに先日受注停止・・・つまり生産完了のアナウンス。当然、後継モデルについての噂が各所で飛び交い、誰もがその情報を待ち望んでおりました。

ました。

 

安心してください。過去形です。

2023年10月10日、ついにMONTAGE後継モデルが正式発表。本当に、本当に待ち望んだ瞬間です。

MONTAGE M

最初に要点だけ、押さえてしまいましょう。

  • “MONTAGE”の正常進化モデル
  • アナログ・モデリング音源が追加=「M」は”マルチ音源”の「M」
  • 単体で動作するソフトシンセ版MONTAGE Mも付属・・・!?
  • 88鍵モデルは”X”

・・・の4本立てでお送りします!

 

“MONTAGE”の正常進化モデル

「正常進化」ですから、最終バージョンのMONTAGEに搭載されている全機能はもちろん、プログラム自体の互換性も確保しています。今回は、新しく追加された要素を中心にチェックしていきましょう。

 

表面仕上げが向上

いきなり”そこ”かよ・・・と言われるのは百も承知。すみません、焦らすの好きなので。我慢してお付き合いください。

先代MONTAGEのパネル表面は塗装仕上げ。よーく見ると、塗料を吹き付けた際にできる柚子肌が確認できます。当然、硬い物に当たったり擦ったりすれば、塗装は剥げて下地が露出してしまいます。
一方、MONTAGE Mのパネル表面はアルマイト処理にて仕上げられています。塗料による着色ではなく、非常に硬い酸化被膜を形成することによる表面処理のため、ソリッドな見た目と高い耐久性が魅力です。個人的にこれだけで高級感が大きく向上した印象を受けました。

パネルレイアウトの刷新

 

基本的なレイアウトはそのままながら、ボタンが整理されたりノブが追加されたり、何より大きいのは左側のコントローラーセクションに搭載された大型ディスプレイ。
先代MONTAGEでは、8つのソフトノブがアサインされたパラメーターはパネル上の印刷と、離れた位置のディスプレイで確認できましたが、MONTAGE Mではこの部分に横長の大型ディスプレイとファンクションボタンが搭載されています。

 

これによる操作性の向上は圧倒的。アサインされたパラメーター名や値がグラフィカルに表示されているので、初見でもノーストレス。フィルターのカットオフ/レゾナンスの様子がノブの動きにグリグリ追従する気持ちよさは、これだけでご飯3杯イケます。ディスプレイ上のボタンや左のページボタンでソフトノブの役割は直ぐに切り替えられるので、慣れてしまえば音色のエディットはこれまで経験したことのないスピード感で進められます。
シンプルなモノクロ有機ELディスプレイはコントラストもハッキリしており、明るいところでも暗いところでもよく見えます。

また、このサブディスプレイの内容をより俯瞰的に見たいときは、「TO DISPLAY」ボタンを押すと、メインディスプレイに内容が反映されます。逆に、シフト+「TO DISPLAY」ボタンならば、メインディスプレイの内容をサブディスプレイ+ソフトノブに反映することが可能です。ノブを回してコントロールしたい、という要望をほぼ何も考えることなく実現できますね!

「色」で機能が判る

パネル上のボタンの多くは自照式。ソフトノブやスライダーにもマルチカラーLEDが搭載されています。このLEDは選択した機能により発光色が変化するため、例えば現在スライダーに割り当てられた機能がパートボリュームなのか、音色内のエレメントのボリュームなのか、等が直感的に判断することができます。

 

「M」は”マルチ音源”の「M」

個人的に、最も大きなトピックがこちら。AWM2(PCM)音源+FM音源のハイブリッド構成だったMONTAGEの音源に、新たにアナログ・モデリング音源「AN-X」が追加されました。この結果、3系統の音源を含んだ「マルチ」なサウンドエンジンに進化したことが、モンタージュ”M”の所以です。

 

リアルな楽器音を再現するAWM2は、プリセットの波形メモリが5GBから10GBに倍増。ユーザー書き換え可能なフラッシュROMの容量も1.75GBから3.7GBにこちらも倍増。こちらもちゃんと進化しています。最大同時発音数は、プリセット波形128音+ユーザー波形128音、計256音です。

ヤマハ製シンセに欠かせないFM-X音源も、もちろん6オペレーター、128音ポリのフル仕様。FM変調しか実現できない、ダイナミックで煌びやかな倍音の変化や、狂気をはらんだ高周波ノイズを豊富なコントローラーで自在に操れる快感は筆舌に尽くし難いですね。

 

そして今回の目玉「AN-X」エンジン(おっさんは”X”の前に数字を入れたくなりますね・・・)。シンク可能な3オシレーター+ノイズを持つ16音ポリのアナログモデリング音源。フィルターも各種カーブを備えた10種類を完備、更に2系統の同時掛けで複雑なマルチモードフィルターの挙動を作り出すことも可能です。アンプ、フィルターそれぞれにLFOを備えるだけでなく、オシレーター3をモジュレーションソースとして、オシレーター1&2の変調も行えます。変調はFM(周波数=ピッチ)だけでなく、RING MOD(周波数の和と差を出力)も対応、オシレーター出力は2系統のフィルターの前段/後段に入力可能・・・つまりは、あんなシンセやこんなシンセ・・・歴史的名機のあらゆるメソッドを適用して、ブリブリ音作りが出来る訳ですよ。エンベロープの反応も速いし、電圧駆動の不安定さや経年劣化を再現するパラメーターも完備・・・!

なにより、サブディスプレイにグラフィカルに表示される様々なグラフや情報と、コントローラーの操作、そして出音が完璧にリンクする様は、ただひたすらに快感。ドーパミンがドバドバ出る体験です。

 

ソフトシンセ版MONTAGE M・・・だと?

ハードウェアシンセの魅力って?

音源とインターフェイスを統合した設計により最適化された演奏性。専用設計ならではの安定性とレスポンス・・・等々、一言で言えば「ソフトシンセじゃここまで出来ないでしょ?」だったと思ってました。

言い換えれば、最新のハードウェアシンセをソフトウェアで再現する、なんて事、タブー中のタブーだと思ってました。

ました。

 

過去形ですよ。

MONTAGE-Mには、その音源全てを再現するソフトシンセが付属するんです。

一件MONTAGE-Mのエディタに見えるインターフェイスですが、MONTAGE-Mを繋がず、スタンドアロン/DAWのプラグインとして起動したとしても、音が出る訳ですよ。何を言ってるかわk(略

発売時点では全ての機能が網羅されている訳ではなく、限定的な内容となっておりますが、将来的にはアップデートにより全ての機能が使えるようになるとの事です。波形のクオリティやプロセッシングについてデグレードされていることは無く、出力はオーディオI/Oのクオリティに依存します。・・・もうハードウェア要らんやんw

 

・・・とはいってもこのソフトシンセ””は、MONTAGE-M一台に対して1ライセンスが付属しており、1stオーナーに限りアクティベートできる仕様です。つまり、MONTAGE-Mの完璧なクローンを使えるのは、MONTAGE-Mを持っている人だけ。世の中そんな美味しい話は無いですもんね。

 

それにしても、流石はヤマハさん。
俺たちに想像もできないことを、平然とやってのける訳ですよ。もうシビれるしか、憧れるしかありませんよ。

 

88鍵モデルは”X”

MONTAGEの61鍵/76鍵モデルは、安心のFSX鍵盤。打鍵時の感触、レスポンス、全てにおいてシンセタッチ鍵盤の決定版ともいえるものですね。

一方、モデル名末尾に”X”が付く88鍵モデルは、何と新設計の”GEX(Graded hammer eith Enhanced eXpression)”ハンマーアクション鍵盤を採用しています。CPじゃなくて、MONTAGEにわざわざ新設計の鍵盤を持ってきた理由は”Enhanced eXpression”。

接点のない全鍵電磁センサー、何とポリフォニック・アフタータッチを装備(6と7はチャンネル・アフタータッチ)。例えばアフタータッチにボリュームやフィルターをアサインした音色なら、コードを押さえた後の力の掛け方次第でメロディを奏でることもできる訳です。この表現力は他に無い魅力と言えるでしょう。

更に、鍵盤のメカニズム自体にも連打性に優れるレペティション機構やエスケープメントが搭載されており、表面も象牙や黒檀の吸湿性を再現。ハンマーの重さも低音域から高音域に掛けて変化する、いわゆる「ガチ」なピアノ鍵盤。

先代モデルがハンマーアクションながら、全音域での均一な演奏性を重視した、シンセ寄りの味付けだったのに対し、ピアノとしての演奏性に拘った点が非常に大きな変化と言えるでしょう。

 

まだまだあります・・・!

AWM2音源を使用したオルガン音色。PCM系音源ながら、豊富なエレメントと細かな挙動を仕込むことで、シンセ臭さの無い演奏感は驚きです。更に、エレメントの音量バランスをコントロールするスライダーは上下が反転!つまりドローバーとして違和感のない演奏中の音色コントロールができる訳です。8本しかありませんが、そこままぁ、専用機じゃありませんから。少なくとも「下3本だけサクっと引き出す」、みたいな操作は気持ちよく行えました。

モジュレーションホイール周辺のコントローラーも大きく進化したポイント。リボンコントローラーは通常の連続的なパラメーターコントロールが出来るだけでなく、最大5つのゾーンに分けてスイッチ的な使い方を設定することも可能。例えばオルガン音色の場合は3つのゾーンで、ロータリースピーカーのハーフムーンスイッチの機能が割り当てられていたりします。ゾーンの境目にはイルミネーションが施されるので判りやすいです。

ポルタメントのON/OFFとタイムはモジュレーションホイール近くに専用コントローラーとして用意。モノシンセを演奏するなら欠かせない部分ですよね。AN-X音源が本領を発揮します。

 

あと、細かな変化ですが、富士山スーパーノブのイルミネーションが点滅系から回転系に変わりました。フワフワと明暗を繰り返す先代のノブも良かったですが、Mはより動きがあって気持ち良いですよ。

勿論、先代MONTAGEシリーズの最新バージョンまでに追加された機能は全て継承しており、プログラムの互換性も万全。まだまだ語り切れないトピック満載の超話題作。より詳しい内容や実際のサウンド、操作性については、ぜひ鍵盤堂にて、ご自身で体感してください!

10月13日~先行展示します!

■商品ページ

MONTAGE M6

MONTAGE M7

MONTAGE M8x

全鍵盤数展示でお試し頂けます♪

【イベント告知】

更に・・・!10月14日(土)鍵盤堂店頭にてヤマハ専属デモンストレーター・堤有加さんによるシンセ相談会を開催します!先行展示のMONTAGE-M全鍵盤モデルの機能やタッチなどお試しになりながら、機能の説明も受けられる貴重な機会‼

是非奮ってご参加下さい。

参加費無料・要予約

ヤマハ専属デモンストレーター・堤 有加によるシンセ相談会! | Ikebe MUSIC INFORMATIONS (ikebe-gakki.com)

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