大学で行われた“サンデー・アフタヌーン・ライブ” in 川崎 [P.Brötzman, T.Kondo, P.Nilssen-Love]

2017年4月23日(日)、午後。

川崎市にある、専修大学生田キャンパス。
その一角の真新しい校舎の一室に集う、200人を超える人々。
同大学の公開講座、

専修大学文学部哲学科ライブ パフォーミングアーツと哲学 ~音の哲学にむけて~

そこで繰り広げられた、日曜午後のライブ・パフォーマンス。


出演:
ペーター・ブロッツマン / PETER BROTZMAN(テナーサックス、クラリネット)
ポール・ニールセン・ラブ / PAAL NILSSEN-LOVE(ドラムス)
近藤等則 / TOSHINORI KONDO (エレクトリック・トランペット)

豪華すぎるメンバー。
現代を生きる、フリー・ジャズ界の伝説的プレイヤー達。
新築のスタジオ室内に轟く、切っ先鋭い音の数々。
60分を超える、“サンデー・アフターヌーン”ライブ。

ライブ後、主催の専修大学文学部哲学科:金子洋之教授によるインタビューで、ブロッツマン氏は語ります。

「60年代、ナム・ジュン・パイク(Nam June Paik/白南準)のプリペアド・ピアノのセッテイングの手伝いをきっかけにFLUXUSの活動に接していた時期がありましたが、当時のJAZZは、エモーショナルで、感覚的で、非日常的なものであり、FLUXUSの、数学的な、計算された活動内容とは正反対の物でした。そして、私の演奏活動には、当時、誰も見向きもしませんでした。そんな中、何度か足を運んでくれたナム・ジュ・パイクから、“Do your things! Go Ahead!”と背中を押され、それ以降、ずっと自分のスタイルをまい進しています。」

ミュージシャンであるブロッツマン氏は、画家としての側面も持ちます。

「当初、画家としての活動がメインでしたが、スタジオで、一人で絵を描き、作品を作るよりも、ツアーに出て、ステージで、共演者と共に何かを生み出す方が、大きな喜びである、と感じたのです。」

エモーショナルな表現をブロッツマン氏と共に描く、長年の盟友でもある近藤氏。

自身で築き上げてきた“電気=電子トランペット”システムを自在に駆り、紡ぎ出す、一線を越えた音。

そして、変幻自在なプレイで観客を魅了するドラマー、P.ニールセン・ラブ氏も様々なサウンドで空間を更に彩ります。

そのライブのPAを 会場後方でコントロールする、エンジニア・間瀬哲史氏の姿。

各楽器のマイキングに、間瀬氏のお気に入りが並びます。


ドラム周りに設置される、「設置し易く、音が良い。」最近の注目銘柄、beyerdynamic TGシリーズと、スネア、キックに、定番のSENNHEISER eシリーズ

金物には、ご存知、赤いEARTHWORKS

ブロッツマン氏の前には、2つのSENNHEISER e906
「ご本人が自分でマイクの位置を決めていました。」

PAブースには、収録用マルチトラック・レコーダーTASCAM HS-P82の姿が。
そして、ここにもbeyerdynamicのTGコンデンサー・マイクが繋がります。
「キラキラしすぎない、ナチュラルなテイストがいいです。」

出力には、米国の新進実力派ブランドVUE audiotechnik社のスピーカー・システムが並びます。

al-8 (3wayラインアレー) / al-8SB(18″サブウーハー) 3/2対向
ドライブアンプ V6-d x3

楽器音を自然に拡声、響かせる、上質なPAサウンドです。

ブロッツマン氏、ニールセン・ラブ氏のモニターにも同VUE社フロアモニターが。

フロアモニター hm-112 (12インチモニター)
ドライブアンプ V4-d

そして、変化を止める事無く、磨き続けられてきた、エレクトリック・トランペット・システム by 近藤等則氏。



明らかに異質、でも、どこまでもエモーショナルな、世界にひとつだけのサウンド。

この日の模様は、下記チャンネルでご覧頂けます。

Peter Brötzman, Toshinori Kondo, Paal Nilssen-Love: Live at Senshu University | 23 April 2017
かわさきワンセグストリーム

https://www.youtube.com/watch?v=fgt_3ehLgtI
(残念ながら、サウンドは会場で聴かれたまま、とはなっていません。)

近藤氏から、会の最後に。

「ヨーロッパでもこうした“サンデー・アフタヌーン・コンサート”の場はどんどん少なくなってきていると聞きます。大学の役割というのは、学生を卒業させるだけではなく、コミュニケーションのひとつの場所として、こうした試みが、この専修大学から発信できた事を非常に嬉しく思います。願わくば、こうしたイベントが続きますように。」

日曜午後の音楽会、いかがですか?

 

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(レポート by S.N.)

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