祝20周年!2016年版サイデラ・マスタリング訪問レポート!
2月9日、国立競技場を含む再開発が進む外苑前エリア。澄んだ陽気の中、RECKB沼田が向かった先。
ご存知、『サイデラ・マスタリング』のオープン・ハウス・イベントに、お邪魔して参りました!
今年でなんと20周年を迎えるという『サイデラ・マスタリング / サイデラ・パラディソ』さん!
20年、ひたすら“音の先端”に居続けてきたサイデラさん!
代表のオノ セイゲンさんは、エンジニア、ミュージシャンという枠にとどまらない、“自在な”活動で、今もシーンの最前線で作り、産み出し、発信し続けていらっしゃいます!
特に、昨今のハイレゾ・シーンの黎明期から今に至るまで、ひたすらに実践し、情報を発信し続け、シーンを形成した功績は絶大!
手にするは、オノさんのSACDサラウンド作品、2点!
『Memories Of Primitive Man / SEIGEN ONO & Pearl Alexander 』、
『SEIGEN ONO / Maria And Maria』!これがまた素晴らしい作品なのです!
当日のスタジオ会場では、こちらの作品も聴かせて頂きました!
もちろんサラウンドで!
作品が制作された現場で作品を聴く。しかもご本人の解説付き!
なんという贅沢(笑)!
オノさん、そしてサイデラさんの “良い音”、“純な音”に対する感度の高さ、応用力、そして創造性は、その全ての活動に一貫していらっしゃいます!
例えば!
最近導入されたというマスタリング用のDAW『MAGIX SEQUOIA』。
チーフ・エンジニア 森崎雅人さんが、その優位性を語ります。
曰く、まず、アナログを含むマスタリング処理を施した、アーカイブとしての「マスタリング・マスター」を製作。これを SEQUOIA 内で「ハイレゾ用」、「CD用」といった、様々なフォーマットに則したマスタリング素材に調整処理。
一見、一工程増えているかの様な(ひと手間増えているかの様な)この手法。
しかしながら、様々なフォーマットが林立している現在のシーンにおいては非常に有効であると。
そして、そうした行き来自在な環境が SEQUOIA にはあると。
もちろん、基本的な音質面でも非常に高い評価!
今回の「オープン・スタジオ」では、なんと、森崎さんの解説付きで、リアルなフォーマット別素材を SEQUOIA 上で比較試聴!
同じミックス素材で、
・マスタリング・マスター、
・ハイレゾ用マスター(24bit96kHz)、
・CDマスター(16bit44.1kHz)
の3種を聴き比べ!中には、スペシャルな大物アーティストさんの素材も!
現在のマスタリング事情を俯瞰できる、貴重な機会でした!
ちなみに、当日の SEQUOIA アウトプットは
RME FIREFACE UCX > GRACE DESIGN M906 にてDA!
普段の SEQUOIA 作業では?
RME Fireface UFX または RME HDSPe AES を使用し、モニター用DAは GRACE DESIGN M906 です。
音作りのマスタリング回線の途中のAD/DAは、
Lavry Engineering DA-N5 Quintessence、PrismSound Dream ADA-8、dB Technologies 4496、dCS 905等をその時々でチョイスします。
(スタジオ・マネージャー MUSHさん談)
この“使い分け”も技のひとつなのですね!
続いて!!
サイデラ・スタジオの壁面には、「反射」、「吸収」を自在にセッティング可能な「可動壁」が標準装備されています。
この壁を「吸音」モードにセッティングし・・・
常設されたゼンハイザーのコンデンサー・マイク『MKH-40』が収音する場の音が・・・
前後左右、そして上部に配された10本のスピーカーから、“響き”として「反射」されて来ます!
「3Dリバーブ・システム」と言葉にしてしまうと簡単ですが、実際に体験すると、“凄い”!
決して大きくはない、(でも、しっかりとした天井高のある)スタジオ空間が、あたかもコンサート・ホールにいるかの様な巨大な“音響”空間に!
サイデラ・スタジオには、そんなサラウンド・リバーブのシステムが常設されています!
更に!
そのサラウンド・リバーブ・システム内での演奏をマルチマイクで録音された、“3D音響システム用”のアコースティック・トリオ・アンサンブル素材を聴かせて頂きました!
10本のスピーカーから流れる、その“音”。
・・・!!!!
まるで、目の前にプレイヤーがいるかの様なリアルな臨場感!
そして、音場内、どこに動いても、プレイヤーの位置は変わらず!
しかも、素材がハイレゾ!
これは強烈!
少し前のレポートで触れた、Inter BEE会場で体験してきた様々な3Dシステムで感じた以上の感動です!!
これだけで十二分に“エンターテインメント”!!
ちなみにその録音/再生システムは、オノさんによるマルチマイキングをKORGの『MR2000』と『Clarity』(!)を使用しての5.6MHz/DSDマルチ録音!
当日は、そのDSD素材が、192kHz/32bit floatにコンバートされ、『AVID Pro Tools11』+『RME MADIface(USB3.0)』+『Ferrofish A16(MADI、DA)』にて再生されていました。
オノさん曰く、「音決めは、ほぼマイキングの時点で。」とされる、この“3D”録音作品。
なんと、今から5年程前の素材である事実が発覚!
そんなに前から既にこんな事を(笑)!
先に行き過ぎています!(笑)
スタジオでのデモ/試聴会の後、階上でオノさんの他ワークスを試聴させて頂きました。私もそれとは知らずに聴いていたあんなレコードやこんなレコードのレコーディング時のエピソードを聞かせて頂いたり。
特に、オノさんが「このミックスは自分でも凄い事をやった、と思っている。」と語った、80年代の清水靖晃さんの45回転アルバム。を、オノさんの解説付きで、その上、豪華PMCモニターで試聴!なんという贅沢(笑)!
滞在時間、わずか2時間程度。その間に、めいっぱい楽しませて頂いた、高純度な“音芸”の数々!
とてもとても素敵な時間となりました!
これからの10年、20年も、是非、“音”で感動と驚きとわくわくを!期待しています!
おまけ:スタジオのピアノに、坂本さんのアルバムや、『KORG minilogue』や:)